FC2ブログ

アヒル番外地

すでに人生半世紀、朝昼晩につれづれに

Top Page › 乳がん › 見舞い
2016-09-15 (Thu)  01:40

見舞い


 先週初め、胸の再建手術で入院してた際に同室だったヤマノさんから
「検査で来たら結果が悪く、二週間ほど放射線治療で入院になってしまった」
といったメールが来た。
当時、乳がんのステージⅢて言ってたか、初めて受診したときにはすでに右胸にできたがんがかなりに大きくなってしまっていたそうで、薬で小さくしたところで全摘、インプラントで同時再建した彼女とは一週間くらい同じ部屋で過ごした。
娘と私とちょうど間の歳の彼女に最後に会ったのはいつだっけ?
退院後も何度かメールのやりとりしていて、診察が重なった際には院内で一緒にご飯を食べたり。
パート採用で仕事の内容が大変なのに給料が安いから辞めたいんだけど、健保の処遇がいいし、病気を抱えては新しい仕事にも就けないし。
誰かいい人いたら結婚したい、ってよく言ってた。

 その後、骨に転移してしまったんで抗がん剤治療でまた髪が抜けて、ということも聞いていただけに、今回の入院がどういったものであるのか思うと返信内容に迷う。
なんて言ったらいいのか、その心境を思えばなお言葉に詰まり、無難なところで病室のこととか返しながら、しばらく会ってないし、入院してた時は「ヒマでヒマで」というのが口癖で院内をよく探索してたヤマノさんだもの、とお見舞いに行ってみることにした。

 病院に向かいながら、下のコンビニで一緒にハロハロでもいただきましょうか、なんて思いつつも状況がわからないし、何か飲み物でも買って行った方がいいのかも、と立ち寄ったショッピングモールでコラーゲン飲料を何本か購入した。

 聞いていた病室はこれまでの女性病棟とは別の階で、電気がついてなかったのかな、ベッドの間にカーテンが引かれてたせいか少し薄暗く。
二人部屋の奥?手前?どっちかしら?、と思いながら、
「こんにちは」のぞきこんだらドア側のベッドの人と目が合った。

 なんか、すいません、遠くなのに来てもらっちゃってすいません、としきりに恐縮しているヤマノさんは薬のせいか、肌が少し日に焼けたみたいな感じ。
「髪もやっと伸びてこのぐらいにはなったんですけど、上の方が薄くて」
「でも、こんなに伸びたんだね、すごい、よかったね!」
「だけど、髪が全体にうまく生えて伸びてくわけじゃなくて、所々で違うんですよね」
デイルームに行きましょうか?、とさっさと私の前に立ち、以前のようにすたすた歩きながら、
「本当は車いす使うように言われてるんですけど、そんなの嫌だし、すぐそこまでしか行かないから、様子を窺っては(ナースステーション)歩いちゃってます」。

 化学療法は一昨年いっぱいまで続いてたこと、今回は検査の結果が悪くてその場で緊急入院になってしまったこと、首のところにも転移してるので、放射線治療が終わったら次は髪の抜けない抗がん剤治療が待ってること。
給料が安い割に仕事がきつく周囲の目がイヤだったこともあって(職場でがんだと噂されるのがたまらなかったそう)4月に仕事を辞めたんで次の仕事を、と思ってる矢先でとてもがっかりしていること、先生の話では年内いっぱいは休養してたほうがいいようだけど、無職ではいくら親元にいたところで治療費もかかるし生活が大変、といったようなことを早口で話しながら。
やっぱり、結婚してないとつらいです。こんなことになるなんて思ってなかったし。
若い頃につきあってた人はとても結婚という感じではなくて。
年金生活の親にそうそう頼れないし、でも、薬代が高くて治療費がやたらかかるところにまた入院費がいるし大変で、この先、どうなるのかと思うとすごい不安。
病院にいると若い先生とかいっぱいいて、すがりたくなっちゃって。
もう3年半くらい診てもらってる担当の先生は50くらいで独身みたいだから、面倒見てもらえないかしら、と思ってしまったりもする、と言うのを聞きながら。
切羽詰っている心境はただただ聞くことしかできない。

 今回は整形外科病棟で女性専用と言うわけでないから、トイレは別でも洗面台は男女兼用なんだそうで、そんな話をしてたら、リハビリの先生が見えるから、と看護師さんが車いすを持って呼びに来た。
リハビリの先生が病室まで指導に来てくれるんだそうで、では、自分もこれで、と帰ろうとしたら
「すみません、すぐに戻ってきますから。ここで待っててくれますか? 待っててください」
時間はかからないと思うから、と言ってたとおりに間もなく戻ってきたものの、やはり看護師さんが車いすを押してきた。
これ以上悪化させたら本当に車いす生活を送らなければならなくなり、中には足を切断せざるを得なくなる人もいる、といったようなことを言われたそう。

 涙も見せず、時に笑顔を浮かべながら淡々と話している姿からはそれほどの深刻さを感じさせないほどに気丈にふるまうヤマノさんだけれど。
その胸中たるや、いかほどのものなのか。

 でも。
年内でなんとか治療に一段落付けて、新しいところで働きたい。
ドコソコに今度、大きなお店が出来て100店舗増えるという話だから、そこで働きたいと思ってるけど、通うには遠いから一人暮らししなきゃダメかな。
そうなると家賃が大変だし、と先のことを話す姿になんだかほっとしながら。

 退院したら連絡します。しばらく家にいるし、通院の時とか、また会いましょう、って言ってくれたのになんだかこちらが救われる。
 帰り、娘のことを思った。
ここまで無事に育ってくれた娘、子供まで生んでくれて、ささやかながらも幸せに暮らしている娘。
その娘が生まれた時、母の上司が
「子ガーコちゃんは幸せの星の元に生まれた子だね」と言ってくれたことをふと思い出した。

 ヤマノさんがどうか幸せになってくれますように。
どうかどうか、放射線が効いてくれますように。
必ずや治療で我慢を重ねた甲斐がありますように。
幸せが絶対に待っていてくれますように。
 そんなふうに願いながら、自分が見舞いに行ったことが逆に彼女の負担になってないかも思わずにいられない。

IMG_1712.jpg
帰りに寄った浜公園
お天気が悪かったわりに波が静かだった



にほんブログ村 ライフスタイルブログ 50代 自分らしさへ
にほんブログ村

お気楽日記 ブログランキングへ

御来訪ありがとうございます。
よろしければどちらか、応援のクリックいただけると嬉しいです。
関連記事

最終更新日 : 2016-09-23

Comment







管理者にだけ表示を許可